杣の村雪解雫の音の中 上野直江
夏痩せやもう母親の顔をして 請地仁
魚の尾てふ氷河懸かるや蒼天に 牛窪肖
山祇の月夜に泛きし朴の花 氏家頼一
漆黒の樹海眠らす月明かり 梅澤忍
法螺の音や修験の道の苺畑 内海トミコ
かぐや姫あらはれさうな竹を伐る 宇山利子
屋久島の雨太くして大川滝 衛藤佳也
椿より始まる庭の花暦 大石英子
裾野より暮るるお岩木花林檎 太田直樹
寒禽や山畑に来る屑鉄屋 大塚禎子
リスボンの海の匂ひや風光る 大西裕