昭和41年 東京・中野区より「春光」を創刊。皆川盤水主宰
昭和43年 「春光」を「春耕」と改題
昭和61年 創刊20周年記念特別号  100号記念特集号
昭和63年 1月号から月刊となる
平成08年 創刊30周年記念特別号
平成16年 300号記念特別号
平成18年 創刊40周年記念号
平成22年 5月、 棚山波朗主宰を継承
平成22年 皆川盤水追悼特集
平成23年 創刊45周年記念号(10月号)
平成24年 400号記念特別号
平成28年 春耕創刊50周年記念祝賀会 10月22日
平成28年 『皆川盤水全句集』刊行 角川書店
令和3年 5月、蟇目良雨主宰継承
令和4年 1月、創刊55周年記念号 

創立者皆川盤水

略年譜

春耕の歩み・創立者皆川盤水

  • 皆川盤水 (1918ー2010)
  • 大正7年10月25日福島県いわき市生まれ。
  • 本名正巳。
  • 平商業学校、巣鴨高商、日本大学法学部に学ぶ。
  • 昭和16年 大連汽船に入社。金子麒麟草に俳句指導を受ける。
  • 昭和18年 船舶運営会に派遣されラオスで終戦を迎え、昭和21年帰国。
  • 昭和26年 「かびれ」同人。
  • 昭和33年 「風」同人参加。
  • 昭和39年 第一句集『積荷』(せっか)。
  • 昭和41年 「春耕」を創刊主宰。
  • 平成6年 第六句集『寒靄』で俳人協会賞受賞。
  • その他の句集に『銀山』『板谷峠』『山晴』『随處』『暁紅』[高幡』『山海抄』『花遊集』『自註皆川盤水集』 など。
  • ほかに遺句集『凌雲]『脚注皆川盤水集』『皆川盤水全句集』がある。
  • 編著に『俳壇人物往来』『山野憧憬』『俳句の上達法』『芭蕉と茂吉の山河』『現代俳人奥の細道を詠む』など、指導書、随筆10冊。事典、季寄せ8冊など。
  • 俳人協会名誉会員。
  • 平成22 年8 月29 日死去。享年91。高幡不動墓苑に眠る。

 

 

盤水先生色紙

盤水先生色紙

盤水先生短冊

盤水先生短冊

皆川盤水100句

朝寒や沖待船の二つ三つ昭和16年 雲の峰大砲おろす御用船昭和16年 大風の中の松籟義仲忌昭和23年

 『積荷』(昭和39年刊)

夜の炉に松笠匂ふ鳴雪忌昭和23年 胸に来る昼の蚊太し平泉昭和26年 桶に浸す蕗が真直ぐ啄木忌昭和35年 火祭終へ天ががら空括り桑昭和36年 獅子舞がすたすたゆけり最短路昭和36年 ゆで栗に一家大声税きたる昭和37年 蟹を売る能登朝市の雨急なり昭和37年 鰻食ふカラーの固さもてあます昭和39年

 『銀山』(昭和50年刊)

鏡太郎忌無数のコツプ酒で満たす昭和39年 茄子の花新聞記者に奇跡なし昭和41年 羽抜鶏廃銀山は蚕飼村昭和42年 こけし屋に頭を揃へたる雛燕昭和44年 盆梅が満開となり酒買ひに昭和47年 卯月波白磁のごとく砕けたり昭和47年 月山に速力のある雲の峰昭和47年 峠より日の濃くなれり紅の花昭和48年 

『板谷』(昭和55年刊)

河骨は星のごとしや鏡池昭和50年 風の盆踊衣装の早稲の色昭和50年 鰭酒を廻し飲みをりサラリーマン昭和50年 古伊万里の赤絵の喜色三ケ日昭和51年 鯉運ぶ水美しや十二月昭和51年 負け鶏をにんにく臭き男抱く昭和51年 枯芦のゆたかにけふの日をとどむ昭和51年 鎌倉の海の上飛ぶ初鴉昭和52年 閼伽井嶽夜風ゆたかな盆踊昭和52年 冬蝗萱ごもりしてぬくからむ昭和52年 本郷に鮭焼く匂ひ啄木忌昭和53年

 『山晴』(昭和59年刊)

残雪に大幣の舞ふ湯殿山昭和53年 鰤起し大佐渡小佐渡つらぬけり昭和54年 西瓜売り厚き筵をひろげけり昭和54年 鱈船に雪の立山聳えけり昭和55年 雪螢振りむくときにもう見えず昭和56年 大盛の秀衡椀の菜飯かな昭和57年 出羽の国ひろびろと田を植ゑ終る昭和57年 山晴れに魚板の音や懸大根昭和57年 草市の荷を解けばすぐ蝶きたる昭和57年 薄氷の岸を離るる光かな昭和58年 手焙や櫛形山の風の音昭和58年

 『寒靄』

花菜風水ゆたかなる美濃の国昭和58年 でゝ虫の句碑に色鳥日暮まで昭和58年 泥鰌掘り集つて来て火を焚けり昭和58年 桜の芽海より雨のあがりけり昭和59年 花御堂虻来てはやも翅鳴らす昭和59年 ふんだんな懸巣の声や阿弥陀堂昭和59年 氷水いたこの席にとどきけり昭和59年 梅見茶屋ぽんぽん榾をとばしけり昭和61年 遡る鮭いよいよ向きをあらためず昭和61年 鶏合せ雪を散らして了りけり昭和61年 初夢の鳥羽絵の兎跳ねてをり昭和62年 筑波嶺の大谷小谷初霞昭和62年 寒の靄まどかに明けし閼伽井嶽昭和62年 山の蛾の花笠につく踊かな昭和62年 古書街に肩叩かるる歳の暮昭和62年 雪女郎厩の馬も見てゐたり昭和63年

 『隋處』(平成6年刊)

玉苗に雨きらきらと羽黒道昭和63年 桜餅三つ食ひ無頼めきにけり平成元年 羽黒山涼し木綿しめかけてより平成元年 鰭酒のすぐ効きてきておそろしや平成2年 白鳥の声燦々と揃ひけり平成2年 満面にふくらんできし朝桜平成2年 遠野人燈を低くして茸売る平成2年 走り湯の音なまなまし桜の芽平成3年 寒鴉雲を見てゐてゐずなりぬ平成3年 帰る鴨ぐんぐん迅さましにけり平成3年 蟷螂のとびつきざまに枯れてをり平成3年 雪しまき松例祭の火を攫ふ平成3年 青饅や「ボルガ」に午後の馴染客平成4年

『曉紅』(平成8年刊)

長城の青き胡桃を風が揉む平成4年 立春と黒板に書く老教師平成6年 鱈吹雪眼をしばたきて橇の馬平成6年 簗番が高嶺の星を褒めあへる平成6年 みちのくの噴湯を高く帰燕かな平成6年 はなやかにまたあはれなり雁の棹平成6年 妻の客ばかり来る日や春障子平成7年 蓴舟沼底擦つて戻りけり平成7年 

『高幡』

獅子舞が面のうちより咳洩らす平成9年 沖膾海女は濡れ髪手絞りに平成10年 春の滝力を出してきたりけり平成11年 

『山海抄』

一つ一つこけしを拭くや春隣平成13年 紅梅の満開の艶真砂女逝く平成15年

『花遊集』(平成19年刊)

沖縄忌夜目にくつきり珊瑚礁平成15年 河童忌の朝刊濡れてとどきけり平成15年 秋の蛇したたかの艶持ちて消ゆ平成16年 三十三才紙漉く家の薄ら日に平成16年 葱抜いて四日の土間を汚しけり平成17年 帰る鴨ためらはず列つくりけり平成17年 とんとんと神の土俵に鴉の子平成17年 漬梅のするどき香り書斎まで平成17年 初冨士に駘蕩として立ちつくす平成18年 春の滝飛沫をかさねはじめけり平成18年 手捕りたる梅雨の鯰をもて余す平成18年 この寺の風鐸の音濃あぢさゐ平成13年  句集未収録 東根は出羽の楽園さくらんぼ平成15年  句集未収録 毛虫焼き終りて酒にしどけなし平成19年

 『花遊集』以降

門開けしままの気安さ夕端居平成20年 葱を引く音に夕べの来てゐたり平成21年 田仕舞の煙り自在に流れゐる平成22年


第2代主宰 棚山波朗

皆川盤水先生の創刊のお言葉は「有季定型を基礎にした伝統俳句に、自然と人間の生活の中から新しい美を探求する」というものです。 何事も時間が経つと古びてきますが、「春耕」はさらに新しさを目指します。「俳句はいつも新しい」のです。 「和して楽しむ」を心がけて会員が分け隔てなく親睦を深め俳句を学び楽しみましょう。

略年譜

波朗棚山波朗 (1939-)
昭和14年石川県羽咋市に生まれる。
昭和50年 「風」入会。沢木欣一、細見綾子に師事。
昭和54年「風」「春耕」に同人。
昭和62年第11回俳人協会新人賞受賞。
平成20年5月「春耕」主宰継承。
令和3年5月「春耕」名誉主宰就任。 句集『之乎路』『雁風呂』『料峭』『宝達』 著書『東京俳句歳時記』『俳句の季節』『俳句はいつも新しい』 『自註・棚山波朗集』『秀句350句・祭』。選集『現代俳句文庫・棚山波朗集』
平成27年まで公益財団法人俳人協会理事長。同副会長を経て現在名誉会員。国際俳句交流協会評議員。日本文藝家協会会員。令和4年2月13日死去。享年82。

 

 

棚山波朗俳句30句抄

『之乎路』から

瓢箪の尻に集まる雨雫昭和52 錆びてより山梔子の花長らへる昭和53 嘴に鑢かけらる新鵜かな昭和54 御柱の曳き綱一村貫けり昭和55 白波の上ばつた飛ぶ辺戸岬昭和55 酒五石豆腐万丁黒川能昭和56

『雁風呂』から

芥子粒となるまで昇り鷹渡る昭和63 顔上げてばかり幼き花田牛平成 2 秋暑し雄島の松の枝密に平成3 乾びたる藻を焚付けに雁供養平成4 黒糸で眼縫はれし囮の鵜平成8

『料峭』から

鶯合せ一の鳥居の浄めらる平成10 御神渡お供の道の幾筋も平成10 はぐれ鳥ふはふは飛んで高擌に平成12 料峭や人より長き棒の影平成13 ゆく秋や筆談に無の一字のみ平成13 漁のなき浜に根を張る馬鹿の花平成14 沖船の満艦飾や蜃気楼平成15 螢烏賊ひかりつくせし命かな平成15

『宝達』から

海鼠腸や能登にとと楽てふことば平成15 永き日や自画像はみな押し黙り平成17 片蔭を出て連れのなきこと思ふ平成17 鰤起し湾の内外奮ひ立つ平成18 あへのこと荒れとや時雨横なぐり平成19 吹かれ来てすぐに吹かるる波の花平成19

以下句集未収載

雁鳴くや師の椅子に座し師を語る平成22 千枚田の中の一枚耕せり平成25 寄居虫の宿も店子も同じ色平成26 糞集む役ゐてチヤグチヤグ馬コかな平成27 蒔くつもりなき朝顔の種を採る平成27 打ち打たるにはか役者の成木責平成28
能登はやさし海の底まで小春凪平成28

棚山波朗・能登句碑