町の鍛冶屋   祢津あきら

火の神に笑顔の揃ふ初鞴

神棚へ若水汲むや火床ほど格子

火造りの鞴引く手に淑気満つ

鎚音に合はせ降り来る初雀

張りのある鍛造の声寒明くる

鍛接の鎚音急かす春時雨

接合の鉄のり秘伝うららけし

火の色で測る温度や末の春

夏めくや開閉出来ぬ鍛冶の窓

風鈴に火床の熱さへ消え去れり

梅雨明や火花も廻るグラインダー

大鎚に横座相打つ日の盛り

焼き入れに緊張走る秋の朝

金敷に均す和釘や夜長し

鍛造の飛び散る火花秋気澄む

平鑿の仕上げ音無き良夜かな

息合はす大鎚小鎚冬来る

絶え間なく響く鎚音冬の雷

念入りに仕上げし刃先暮早し

春待つや業を受け継ぐ若き鍛冶 

祢津あきら→その人

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