水となる際のきらめき春の雪
二度三度堰かれてなほも春の川
わが願ひ護摩の火中や青嵐
時計まだうごく閉校桜実に
吊るすなり風呼び込みぬ夏暖簾
梅雨晴のけふいつぱいを使ひきる
碑に望郷の詩一葉落つ
団栗や奥極めたき径ありぬ
秋茄子包丁入れしとき緊る
先駆けて落葉の入る自動ドア
河縁に土管が一つ冬来る
山紅葉伝説なべて負け戦
冴ゆる夜の空の深さを畏れけり
新暦表紙の紅に始まりぬ
隣席の嬰の眸澄める初電車