外ヶ浜 太田直樹
舟小屋をはみ出す舳先鳥曇
雁風呂に宿る言霊外ヶ浜
焚き付けは砂の埋れ木雁供養
強東風に軋み止まざる船溜り
布海苔掻く大き臀部を岩に据ゑ
傾ぎ立つ蜑の卒塔婆や寒鴉
藻屑なげ風読む蜑のほほかぶり
雪積みて軒突き合はす外ヶ浜
目貼りして網繕ひて漁を継ぐ
拍手やけふ解禁の真鱈漁
鱈場取り競ふ舳先や外ヶ浜
刺し網の鱈船戻る海猫連れて
鱈一尾丸ごと提げて独りなり
鱈割きて掴み出したる白子かな
鮟鱇を腑分けのごとく捌きをり
寒濤の岩を咬み来る竜飛岬
ふるさとは七つの雪の降るところ
陸奥湾に朱のきざはしや初漁旗
汽笛もて賀詞交はし合ふ外ヶ浜
酌み交はす漁師三代三が日