修二会   中谷恵美子

初春や鴟尾煌めける東大寺

御降りや良弁杉の青々と

神名備の奥より春の水一縷

別火入りの僧の影濃き春障子

朧夜や法螺を復習へる練行衆

本行に向かふ修二会の僧凜々し

梅が香や裏参道の四方より

本堂の飛宇を零るる恋雀

生飯投げを待てる鴉やうららけし

お松明担ぐ童子の腿太し

欄干に猛る炎やお松明

春月や堂に歓喜の火の粉降る

余寒なほ秘仏まします二月堂

南無観を和して鎮もる春の闇

過去帳に女人を待てる修二会かな

達陀の行法の火が床に跳ぬ

練行衆に不退の気迫冴返る

法螺貝や笙や修二会の闇いよよ

お香水押し戴けるお水取

満行の僧に孕める春の風

中谷恵美子→その人

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