地場野菜豊かに積まれ山笑ふ
せせらぎの音変はる瀬の芹青む
差し潮の迅さに濡れて鹿尾菜刈る
生新た神代桜の巨幹かな
野に出でて季語のきらめく五月来ぬ
加茂祭牛車の軋む音去りぬ
新緑の色の主張や柞山
激つ瀬に岩魚はじつと動かざる
木道に沿うて帆をあぐ水芭蕉
郭公の声を友とし尾瀬の径
驟雨来し土の匂ひの追うてくる
城壁を半ば上りて蟬生るる
藁屋根の草は穂となり吹かれをり
豆名月地球の影のひとときを
白萩の咲きて周囲の闇深む