春の鴨水輪を広ぐ山の湖
青田風吹き上ぐ羽黒大鳥居
蜥蜴這ふ丸太の椅子や南谷
霧に消ゆ金剛杖の鈴の音
猫じやらしの束振りかざし下校の児
蕎麦の花揺れて風生る峡の畑
寺跡の礎石縁どる赤のまま
梅擬茂吉の墓所に彩ひとつ
枯尾花入日となりし日本海
雪底に水流る音権現堂
茶を汲める音の静寂や雪積る
沢沿ひに獣道あり寒晒し
断崖を離れ雪片煌めけり
水温む西湖に想ふ蘇東坡の詩
朧夜や蘇州の宿に胡弓の音
板垣きぬ子いたがき きぬこ
板垣きぬ子いたがき きぬこ
◆略歴 昭和60年俳句初心者講座受講。平成元年藤島俳句会入会。平成3年「春耕」入会。平成16年山形句会入会。小野誠一に師事 2022年5月9日退会