大川の流れ静かや年明くる
料峭や神馬齧りし柵の疵
鴨帰る番なすものなさぬもの
木登りの子ら下りてこぬ日永かな
沢音の深まりしとき瑠璃鳴けり
押して待つポンプの水や麦の秋
霊山の風巻き揚ぐる鷹柱
渡る鷹昇りてよりの速さかな
先師の忌近き裏山やまがら来
榎の実ほのかに甘く冬に入る
境内の裏の賑はひ神の留守
酉の市果てて境内ちぢまれる
まだ青き見返り柳一葉忌
にほ潜く水輪みてをり欣一忌
靄まとふ倫敦塔の都鳥