鷽替へて少し身軽くなりにけり
  梅咲くや室津の海のかがやきに
  浅春や矢風の走る神の庭
  鳥曇銅鑼のんどりと出航す
  桟俵押して促す流し雛
  我が影の中に春蒔大根蒔く
  大粒の雨の降り出す薬狩
  白白と篝火焚ける昼鵜飼
  でこぼこの床屋の土間や梅雨に入る
  浮苗を差して時折山仰ぐ
  和へ物に辛味利かする溽暑かな
  御座船の旗の靡ける浦祭
  冬うらら遅れて鳴ける鳩時計
  水底を踏みしめ楮晒しけり
  六甲の裾野もとほる松迎
木村てる代きむらてるよ

木村てる代きむらてるよ
◆略歴 平成8年俳句通信(現、雲の峰)入会。平成11年同人。平成10年「春耕」入会。平成23年「春耕」同人。俳人協会会員、大阪俳人クラブ会員





 
 