凌霄や炎噴き出す登り窯
連凧の先の触れたる昼の月
舫ひたる鉄鎖に並ぶ冬鷗
花冷えや嵌め直したる琴の爪
臘梅や墨の乾かぬ朱印帳
どか雪に折れたる杉の幹匂ふ
燕の子張子人形師の梁に
荒梅雨や四万十川の舟けぶる
野馬追の粗相の匂ふ注連の道
湯殿山山毛欅の枯木に穴あまた
家族みな避難せし家草茂る
まだ除染済まぬ田畑や鍬始
浜豌豆津波の浜に根付きたる
繕ひの済まぬ甍や燕来る
玫瑰や瓦礫の山の校庭に
小関忠彦こせきただひこ
小関忠彦こせきただひこ
◆略歴 昭和62年「風」入会、沢木欣一に師事。昭和63年「春耕」入会、皆川盤水に師事。平成3年「春耕」同人。平成22年以降、棚山波朗に師事。2020年9月退会