杣の子のこけしつくりて卒業す
少しならと酒許されて初鰹
湯治場に田植焼けせし顔揃ふ
煙草干し村中昼寝してゐたる
ずぶ濡れの合羽の光る茸狩
置き去りの牛群れてゐる花大根
新茶来ぬ被災見舞の文添へて
合歓の花還れぬ村のバリケード
垂れ幕に復興の文字出初式
線量計当てられてゐる雪だるま
風光る還れぬ村の水車小屋
累々と除染袋や花吹雪
桃の花幹に除染の布しるべ
鎮魂の深き黙禱海開き
被災地に狂言師来る初笑
久保木恒雄くぼきつねお
久保木恒雄くぼきつねお
◆略歴 昭和60年「春耕」「風」入会。古市枯声の指導を受ける。平成4年「春耕」同人。