亀鳴くや白鳳仏の欠けし指
冴返る孔雀は羽根を閉ぢしまま
淡雪や一筆書きの舟の水脈
山裾に消えし単線鳥渡る
綿虫や未知の齢にわくわくす
妣の手記また読み返す一葉忌
あらたまの風引き締まる山河かな
淑気満つ三百年の男松