胸像に明治の憂ひ四日かな
カーテンにこぼるる日差し二月尽
遅れ来る列車待つ間の日の長閑
渓沿ひに関越えの径二輪草
青田風天まで上がる棚田かな
魚の尾てふ氷河懸かるや蒼天に
海風の抜けて銃眼涼しかり
岩陰に青き閃光蜥蜴去ぬ
消えてなほ音の揚るや遠花火
縁先に低き波音良夜かな
友の名のある遭難碑秋の風
捨てきれぬT 型定規文化の日
平安の窯跡への道霜踏めり
三島忌や尖りたる風ほほを打つ
遠富士の襞の影濃き冬至かな