魚沼の棚田一つに稲架一つ
初夢に喧嘩別れの姉の顔
途中より夫と替はりし稲刈機
子の眠る墓と語りつ詣でをり
田植終へ蝲蛄捕らへ戻りけり
校門で肩を抱き合ふ卒業子
老木に酒吹きかけし成木責
髪かたち三ツ編に上ぐ春祭
幾日も夢の広がる福寿草
入江ほど新緑深くなりにけり
釣り上げて草に跳ねさす大岩魚
樽酒をもてなし春を祝ひけり
声高く糶り落されし佐渡の鰤
茅葺きの屋根より立ちし冬の虹
白波の寄せる砂丘の初景色
渡辺信子わたなべのぶこ
渡辺信子わたなべのぶこ
◆略歴 平成3年頃仕事のかたわら山崎羅春に 師事。その後「春耕」「あきつ」入会。新潟同人句会所属。