湧き立ちて浮雲となる花辛夷 囀の真中に画架を組みにけり 鯉はねて黄菖蒲の影乱しけり 落蟬の終の命や足たたむ 着水の音をひとつに番鴨 冬霧の晴れて俄に街動く 雪ばんばそつと耳打ちしてゆけり 己が名を忘れし姉よ着ぶくれて
山田えつ子やまだえつこ
◆略歴 平成20年「酸漿」入会。平成23年「酸漿」終刊。平成24年「春耕」入会、棚山波朗に師事。平成31年「春耕」同人。