一塵もとどめぬ白や寒牡丹
かたかごの花にあまねき山の風
緋の色のはやもあふれて牡丹の芽
地震あとの天の広さよ花辛夷
おもひやる心たれにも初桜
ふるさとの闇やはらかし花杏
くづれては嵩なす雨の白牡丹
山雲をおしあげ朴の花ひらく
捩花のひとかたならぬ捩れかな
侏儒ひそみゐさうな蛍袋かな
月明にほぐれて烏瓜の花
うまや路の不器男生家や酔芙蓉
子規庵の鶏頭いまも十四五本
向き思ひ思ひに南蛮煙管かな
金の蘂あふれ茶の花日和なる
池内けい吾いけうちけいご
池内けい吾いけうちけいご
◆略歴 昭和53年 フジテレビ俳句会で皆川盤水に師事、「春耕」入会。昭和56年 「春耕」同人。昭和58年 俳人協会会員。昭和59年 春耕賞。句集『穭田』『鴫焼』自註『池内けい吾集』→出版物案内