撫でられて眼を閉ぢし孕馬
白魚を和紙漉くやうに洗ひをり
すみずみを叩きて畦を塗り終へぬ
風呂蓋も干して早苗餐日和かな
牛宿の名残の礎石青胡桃
こころもち水を深めに山背の田
裏戸より風よく通る昼寝かな
水口に砥石涼しく浸りをり
どくだみの強き根張りや関所跡
裏表なきが取柄や冷奴
主峰なき山に囲まれ蕎麦の花
分校は坂のてつぺん草虱
盆石に惚れ込んでゐる夜長かな
水落しいよよ色づく千枚田
ねまりても牛の骨格豊の秋
鈴木志美恵すずきしみえ
鈴木志美恵すずきしみえ
◆略歴 昭和63年「薫風」入会、加藤憲曠に師事。平成21年「春耕」入会、棚山波朗に師事。平成24年「春耕」同人。俳人協会会員。