青鷺の庭に来てゐる初景色
寄り添うて光を放つ福寿草
白魚の跳ねて朝日を散らしけり
芽柳の枝のもつれを風が解く
雨水のしたたつてゐる春子榾
堰を越す水のきらめき猫柳
雨あとの空の明るき松の芯
流木にからむ芥や梅雨の川
軽鳧の子の水脈引いてゐる山湖かな
遠き日の父の土産の貝風鈴
篁を風の抜けゆく厄日かな
鴨引いて鏡のごとき山の池
枸橘のとげの鋭く鵙の贄
藁塚の傾ぎし影も冬ざるる
寒禽の声透き通る雑木山
平賀寛子ひらがひろこ
平賀寛子ひらがひろこ
◆略歴 平成5年「春耕」入会 平成10年同人 俳人協会会員