リヤカーに霜のせて来る庭師かな
柄を替へて包丁もどる年用意
跳んできてふくら雀となりにけり
荒れ果てし隊商の宿春の月(トルコ三句)
春の雪塩湖に群るるフラミンゴ
大陸を隔つ海峡風光る
屋根替の長青空に声とばす
骨壺に残るぬくみや鳥雲に
蒼天へおんべ突き振り御柱
刻々と力蓄へ雲の峰
泰山木咲く邦人の朽ちし墓(台湾)
夏帽子深く被りて駱駝乗る(バリ島)
義貞像色なき風に太刀かざす
職を辞す日や一枚の鰯雲
月光の仏間の畳ほつれをり
松島徹まつしまとおる
松島徹まつしまとおる
◆略歴 昭和59年フジテレビ俳句会入会。平成24年「春耕」同人。俳人協会会員。令和2年9月23日死去享年81歳