まづ一輪見つけてうれし梅の花
斑雪野や野積みのままの汚染ごみ
花冷えに車座の輪の縮みたり
光呼び光を返すいたちぐさ
花びらのやや自堕落に紫木蓮
白牡丹衣の重ねをくづしけり
夏の蝶ニライカナイへ向ふかな
伝令の何伝ふるや蟻の列
青臭き香の手に残るほたる狩
浴衣着て胡坐が似合ふ男かな
つくばひに揺るる影あり浮紅葉
冬うらら遍路の鈴に会釈して
賓頭盧の膝で息絶ゆ冬の虫
崩落の石飛ぶ崖に石蕗の花
三四郎池に影置く寒椿
松谷富彦まつやとみひこ
松谷富彦まつやとみひこ
◆略歴 平成22年「春耕」入会。平成26年「春耕」同人。俳人協会会員