初晴の天に枝張る力あり
野良着干す島の民宿黄水仙
涅槃図の仏には無きたたみ皺
手綱引く鵜匠のまなこ闇に燃ゆ
道三の城へ夏霧駆け登る
打ち晴れし琵琶湖を望むお花畑
コスモスの風に幣舞ふ蚕の社
後ろ髪引かれつ抜ける踊の輪
やはらかく嬰抱き上ぐる良夜かな
故郷は通過の駅や星月夜
烏賊を干す舟屋の軒や小春凪
冬ざれや昼を灯せる千代紙屋
鷹匠の腕引き締めて大地踏む
漆屋の引戸重たし雪催
藁厚く敷きて厩舎の掃納
布谷洋子ぬのたにようこ
布谷洋子ぬのたにようこ
◆略歴 平成4年「春耕」入会。故皆川盤水に師事。平成16年 「春耕」同人