地下足袋の強張りてゐる余寒かな
掌に乗せし古巣のいと軽し
囀や樹液光となりて落つ
若竹を間引きて空を引き寄せる
麦焼きの熊手焦がして戻りけり
余り苗水戸の近くに根付きけり
罅の田の水吸ふ音や草田男忌
日焼止め未だ農婦となりきれず
けふ処暑の摘果せし手の青臭き
ふかぶかと田水湛へる厄日かな
研ぎ上げし鎌の匂ひも秋めける
新藳の灰となりつつ香りけり
竹伐つて竹の隙間を引き摺れり
葡萄棚の針金締める寒の入
寒禽や山畑に来る屑鉄屋
大塚禎子おおつかていこ
大塚禎子おおつかていこ
◆略歴 平成5年「春耕」入会。平成13年「春耕」同人。俳人協会会員。