鯱仰ぐ城下に響く謡初
大槻の空に囀り溢れけり
田植終ふ結納の日の決まりけり
日食に囀りはたと止みにけり
竿の先蛇渓流を渡りけり
炎天に塩吹く杣の野良着かな
祝部の法螺嶺々へ山開
湯の神の幣に憩ひし鬼やんま
草履編む花笠踊り間近にし
もてなしの大き通草や羽黒坊
前掛は羽黒の刺子茸売り
鈍色の茂吉の山河時雨れけり
白鳥の羽音に目覚む母の里
大氷柱格子となれり磨崖仏
海鳴りや石置屋根に波の花