海を越え白寿と交はす初電話
初旅や師の住む国へ待つ街へ
長寿祝ぎ浅草に選る紙の雛
タイ桜と呼ばるる花に迎へらる
風の入るテラスに持参の桜餅
蒼天に黄衣纏ふ涅槃仏
象の背に麦藁帽子弾みをり
シャム湾に続く塩田炎暑かな
メナム川船ごと染まる大夕焼
南国の遅き夕暮れ守宮鳴く
この山を越えればラオス小鳥来る
釣瓶落し椰子の木越しの稜線に
霧深き山寺遥か金の塔
爽やかに白寿の笑みに送らるる
常夏の国より帰り雪催