大初日真珠筏の海光る
年新た亡き師の遺訓読み返す
白鳥の沼ひと巡りして引けり
ご開帳長蛇の列に落花舞ふ
国分寺跡の礎石やつくしんぼ
古池の底に揺らめく蝌蚪の紐
蚊食鳥ほつほつ灯る蜑の村
富士の水引き裾宮の作り滝
天道虫向きを定めて飛び立てり
雁渡る湖北に古りし観世音
錦秋の渡良瀬渓谷トロッコ車
千年の杉の秀照らす望の月
能登の灯の波に隠るる鰤起し
降り続く深雪に沈む永平寺
久遠寺の磴三百や冬桜
塚本弘満つかもとこうまん
塚本弘満つかもとこうまん
◆略歴 昭和63年「春耕石神井句会」入会。寺崎美江女先生の指導を受ける。平成6年同人。平成23年先生入院のため句会幹事代行、24年先生逝去に伴い幹事、現在に至る。平成29年1月26日没。享年93歳。