多磨茜022

多磨 茜

本名 茜ケ久保房子

昭和14年9月東京都港区に生れる。

都立三田高校卒業。

伯父 志摩芳次郎の影響で俳句に親しむ。

「狩」「琅かん(王偏に干)」同人

「和賀江」同人を経て平成元年「春耕」同人。

句集『多摩横山』

 

作品から

登校の傘映しゆく植田水

枯るるまで息つめし顔菊人形

水口の根ごとそよぎて余り苗

黒土の匂ふや雨の植木市

買物籠一番上に葉付き柚子

佐渡の春工房に竹はぜる音

黒潮に乗出す松に鳥交る

空蝉の背のまつすぐに割れてをり

水引草束ねて色のうまれけり

草餅や石臼にある日の温み

船宿に白粉花の夕明り

手焙りの灰うつくしき梅の寺

初鴨の胸張つて水押しゆけり

午後よりはいつも風出て冬菫

盆の花折り来し手足濡れゐたり

雲雀野に眩しき顔となりて佇つ

指先のまだつめたくて雛祭