菱喰の帰る日間近田の煙
菱喰の身を寄せ合へる暮色かな
青田原翔つとき鷺の群を組む
行々子雨の古墳を啼きつくす
玉解く芭蕉芋銭旧居の庭にかな
放牧の乳房を揺らす大南風
石手寺の大き草鞋や枇杷の花
校舎の灯貰ひ茄子苗植ゑにけり
掘り上げし蓮の長さを天に差す
句集読む足より冷えし寒の入
色変へぬ松や伊予路のなまこ壁
波に散る翡翠の瑠璃初筑波
霾や魔物ゐるごと湖荒るる
菜の花や帯なす利根の幾曲り
七種の揃はぬ粥を作りけり
福田町子ふくだまちこ
福田町子ふくだまちこ
◆略歴 昭和58年宮川杵名男のつくば句会に入る。平成3年「春耕」に入る。平成22年春耕新人賞を受ける。2022年5月9日退会