春一番新隧道を走りけり 葉桜や当直明けの缶コーヒー 麦の秋かつて戦のありし村 くづれなき和服姿の薄暑かな 逝きし子の夢の半ばや明易し 朝採りの棘もうれしき茄子胡瓜 虎落笛すこし鬆の入る茶碗蒸 鰤届くそれより夫の大仕事
伊藤克子いとうかつこ
◆略歴 平成 17年「酸漿」入会。同 23年「酸漿」解散により、「春耕」高尾句会に入会。令和 4年「春耕」同人。