初写真白寿の母を囲みけり
やはらかき土やはらかき御行摘む
暗渠へと音谺して春の川
雨あとの摘めば香の立つ薬狩
籐椅子の父団欒の端にあり
青嵐一木一草山の音
水替へてより出目金の漆黒に
通院の母とひとつの日傘かな
噴水のしぶき時々裸婦像に
赤富士や岬の鼻の明け初むる
みんみんの一山一寺私す
くわつと照る山の天気や花芒
夕風のほぐるるあたり秋桜
ロダン像肩より釣瓶落しかな
穭田の夕日の中に山羊の声