朝市の濡れ土まとふ蕗の薹
風音の奥に水音竹の秋
初蟬やにはかに強き日の光
桶ごとに値札浮かせて金魚売
踏ん張りの利かぬ齢や水馬
ひと雨のあとの草の香涼新た
島の灯の海にこぼるる十三夜
群れてゐることの安らぎ寒雀