語り部と歩く小辺路の初音かな
冴返る黒漆喰の蔵屋敷
寧日や池のどこかに昼蛙
かしぎつつ梅雨の大川荷足船
神苑の椨千年の木下闇
信玄の超えし棒道ななかまど
軒すだれ一枚づつにある暮し
御明かしのなくて仏間の寒さかな