柝の入りて水打つごとし初芝居
日の暮れていよよ高まる河鹿笛
畦道を山車の練りゆく春祭
若竹の突き抜けてゐる堆肥小屋
野あそびの母を取り合ふ一日かな
一息を足して返すや紙風船
雑踏に押し黙りゐる大暑かな
蜩の声が声呼ぶ奥の院
日照雨去り青き香のたつ大茅の輪
枯菊へ夕日集まる畑の隅
合掌の屋根より釣瓶落しかな
納屋の軒夕日に縮む唐辛子
大胆に枝払はれて冬木かな
流木を置きざりにして川涸るる
電飾に溺るる街や十二月