葦原の小道に迷ふ小春かな
正造の奔走の道麦芽ぐむ
方丈に素読の子らや秋の風
廟深く楷樹の黄葉降り止まず
かたかごや嬥歌の山の風の音
防人の歩みし径の落葉踏む
口寄せに連なる日傘いたこ小屋
中庭に美しき敷藁干瓢剝く
干瓢干す大谷石なる蔵の町
鵙の贄乾び尽せる翁道
灯台の螺旋階段風光る
錻力屋の屑に緑青梅雨深し
春泥の納屋まで敷ける荒筵
文豪の終の住み処や梅雨茸
いぶされていぶされて炊くしもつかれ