喜寿迎へ初金毘羅の駕籠に乗る
宝船敷きてうなされゐたりけり
潮鳴りのとどく故郷の初寝覚
初風呂に試す傘寿の力瘤
寒紅や灯ともし頃の先斗町
息白く駅長始発ベルを押す
かはたれの月を仰ぎぬ近松忌
里神楽果て居酒屋へ神と鬼
蓬髪をばつさり切つて卒業す
傷つけし机を撫でて卒業す
白地着て奏然自若装へり
一日を変へてみたくてサングラス
みどり児に小さき鞍置く茄子の馬
妻看取る月日流れてはや白露
鳥渡る試歩の介添してをれば
杉江茂義すぎえしげよし
杉江茂義すぎえしげよし
◆略歴 平成8年 [.雲の峰」入会。平成11年「雲の峰」同人。平成9年「春耕」入会。平成22年「春耕」同人 。俳人協会会員。2020年7月退会