どんど果つ戻る瀬の音堰の音
逆波を追ふも逆波東風の堰
貯へし力を色に芽吹山
音よりも影に乱るる蝌蚪の陣
人絶えて堰音ばかり残る花
己が影蹴り翔つ鷺や春の川
堰音に紛るることも初河鹿
隠沼の動かぬ水面秋暑し
渡り来る風の甘さや稲の花
線となり面となり来る稲雀
堰落つる痩せし水音秋深む
そこだけに日の留まれり残る菊
綿虫の寄り添ふやうに去るやうに
浮かび来し鳰 に 落暉の飛びつけり
音連れて風走り来る枯蓮田