地に還る木の葉に夕日やはらかし
パソコンの立ち上がりたる春の宵
げんげ咲き妻これからは親友に
水牛に聞かす舟唄仏桑花
舫ひ綱解けば散り来る桜かな
猫にものいひつつ女烏賊を干す
冬鷗円を描きて円を出ず
山里の犬に吠えらる四温晴
野焼き果て縄文の闇深まりぬ
降る雪に狛犬目鼻失へり
黄昏の路地に明るき花すみれ
海坂へ転舵いつぱい夏の雲
ふどしの子勢揃ひする海開き
一病を忘れて今朝の花野かな
暗がりに慣れて書を繰る青簾