晴天へ駆け登りたる梯子乗
葦かびに流るるもののつまづけり
かげろふを追ふかげろふの中にゐて
風待ちの島の港や残る花
梅雨ごもりどこにも合はぬ螺子ひとつ
まくなぎが邪魔かまくなぎの邪魔か
国道を渡りきつたる大毛虫
泰山木の花白きまま蕊崩る
トランペットの長き一音秋澄めり
水軍の海見ゆる丘一葉落つ
海風のやむ間もなくて猫じやらし
海見えて波音遠し十三夜
空と地の中間色に秋暮るる
陽の窓にしきりと拝む冬の蠅
白息は消え言の葉は残りけり
田中里香たなかさとか
田中里香たなかさとか
◆略歴 平成 24 年三越カルチャー入会。平成 25 年春耕市ヶ谷句会入会。平成 27 年春耕新人賞。平成 28 年「春耕」同人。 俳人協会会員。