備射祭競りて矢拾ふ松の内
寒紅梅木沓の禰宜の小走りに
水滴の肩にきらめく寒水行
閻魔参り地獄絵赤のうとましき
芽吹く木に和毛くはへし小雀来し
無住寺や枝垂桜に賑はひぬ
孔子像目差しやはらに楷若葉
立ちて見つ座りて拝す涅槃絵図
春の燭ささぐイコンやニコライ堂
陰イオン撒き散らしける滝しぶき
夏の夜出店の灯なつかしむ
敗戦日知らぬ世代の世となりぬ
浦波の匂ひほのかや馬鹿の花
秋寂びて鳴らぬ石町時の鐘
「うぶげや」の看板右書きそぞろ寒