麦青む遙かに烟る近江富士 湾に沿ひ鎮もる舟屋冬銀河 釜の湯のひねもす滾る寒の寺 芋茎和ひとさじの酢で母の味 薄ら日の空に紛るる花樗 遠泳や父の広き背眩しめり 塩田の砂掃き寄せて秋惜しむ なまはげの足鳴らすたび藁匂ふ
冨田君代とみたきみよ
◆略歴 平成20年「酸漿」入会。平成24年主宰の死去により終刊。平成25年「春耕」入会。平成29年「春耕」同人。俳人協会会員。