吹き晴れてむらさき深き初筑波
追ひ羽根の高きに袂ひるがへす
ふところに犬抱き二月礼者かな
余震なほ足裏にひびく春の闇
観音の御手の蓮華に花の雨
沼風にでで虫吹かる河童の碑
秋霖や佐渡の赤石つやつやと
高々と雨に匂へり葛の花
にぎり飯畦にひろげる晩稲刈
腰で引く田舟の綱や蓮掘女
炉開きや嬶座に残る焦げの跡
かけす鳴く筑波の神のお座替り
春潮や六角堂に槌の音
窓近く小綬鶏啼く日兄逝けり
田に畑に人影動く芒種かな