芹摘めば水底雲の湧くごとし
親方の声したたかに屋根替へる
蕗のたう濁り増したる最上川
老桜はにかむやうに枝垂れをり
蔵王嶺の朝靄晴るるさくらんぼ
ざんざ降り後の紅花あかりかな
屋根塗りの掛け合ふ声の灼けてをり
秘仏との有り無しの線蜘蛛の糸
茸籠置いて鈴の音止みにけり
早稲の香や日の出に村の動き出す
色変へぬ松に勇気の色増せり
三山の空を一つに芋煮会
村中が外に出て四温使ひきる
山彦の応ふるこゑも悴めり
火柱のごと落日の軒氷柱