余りある玻璃戸の光シクラメン
朝まだき水脈曳き戻る白魚舟
臘梅の風の小径をたもとほり
囀に明るさの増す木立かな
山峡にぽつと灯のあり春の闇
己が影の内に降り積む桜蘂
春の水迸り来る光かな
今年竹まだ伸び盛る節の丈
春蟬や落葉松薫る峠越え
神田川風に玉解く芭蕉かな
漆黒の樹海眠らす月明かり
しぶき立つ真白き川面大夕立
落ち蟬の残せる力脚たたむ
塩田の筋目に秋日煌めけり
刈り込みの済みし日面返り花
梅澤忍うめざわしのぶ
梅澤忍うめざわしのぶ
◆略歴 平成24年「春耕」入会。平成27年「春耕」同人。立川羽衣句会で塚本清に、国立句会で棚山波朗及び生江通子に師事。