ガンジスの牛のざわめき初日の出
バレンタイン針は零時を指しにけり
孕み猫啼く暁の歌舞伎町
四万十の海苔みどり濃き立夏かな
触れ太鼓一打に晴るる五月場所
白南風に潮汲み入るる煮干釜
北斎の富嶽の襞も晩夏かな
メロン食み述べ立ててゐる理想論
土蜘蛛に月蝕の月満ち来たる
茱萸赤し深き悩みの続く日に
熟田津に鯛舟揃ふ良夜かな
白菜に縄で結へし凹みあり
塩羊羹厚切りにして漱石忌
雪だるま友の小さな嘘見抜く
暗がりに諭吉の像や年詰まる