立春の波に裾濡る磨崖仏
残雪と言へど丈余の注連寺
春祭床踏み鳴らす猿田彦
風光る虎舞太鼓屋根に据ゑ
月潟の祭太鼓に樽加へ
縁先に掛けて瑠璃聴く五合庵
筒鳥の筒の楽なす祝詞かな
千切れ飛ぶ雲に触れ咲くちんぐるま
下北も蝦夷も染めたる大夕焼
蟬しぐれ秘仏開扉の立石寺
生餅を焼いて味噌塗る盂蘭盆会
団栗を踏んで師の墓詣でけり
更けて酌む羽黒の神の濁り酒
切り倒す杉をむささび飛び出せり
どんど火に鯣あぶりの竹並べ
阿部月山子あべがっさんし
阿部月山子あべがっさんし
◆略歴 昭和45年「風」入会。沢木欣一に師事。同年6月羽黒山全国俳句大会に選者として沢木欣一、細見綾子夫妻来山。皆川盤水、高木良多氏が同行。「春耕」が隔月発行に伴い同人参加、現在に至る。平成14年沢木欣一逝去に伴い「風」終刊。同年「万象」に同人参加、「月山」主宰。平成24年俳人協会幹事。山形県俳人協会会長。