風立てば黄を吐くやうに花ミモザ
理学部の真夜の灯こぼす新樹かな
我が影にかすかに揺るる風知草
川原石粉ふくやうに秋暑し
裏山を刈り新涼の夜風かな
桐一葉訃音のごとく胸に落つ
円形に散りしく木犀奥の院
小鳥来るニコライ堂の絵硝子に
鈴音ごと髪置の子を抱き上ぐる
十坪ほど父が余生の葱畑
大綿の行方を追うて見失ふ
雪催能登の海鳴鳴りやまず
太き眉乗せてゐるかに大マスク
総身にどんどの匂ひ持ち帰る
遠富士をゆらめかせをりどんどの火