巻きぐせをそのままにして新暦
涅槃寺走り根つたひ栗鼠鳴けり
弁天の立膝すべる雀の子
ひとひらは風を離さず花菖蒲
あめんぼう日の斑こぼるる瀬にのれり
経蔵の飛天の彩の涼しかり
真菰分け風の抜けくる湖国かな
根をつけしままの流木晩夏光
新涼や酒量り売る蔵の町
綾子忌の近き芭蕉葉風を呼ぶ
白露なる島の畑の石の照り
待宵や写経の筆先嚙みおろす
風音に水音紛る豊の秋
浮御堂魞挿す湖の風入るる
大白鳥水引き上げて翔びにけり
児玉真知子こだままちこ
児玉真知子こだままちこ
◆略歴 昭和53年「風」入会。平成13年「風」同人。平成14年「風」終刊、同年「春耕」同人として入会。平成15年「第一回春耕新人賞」。平成16年「春耕創刊三百号記念俳句賞」。平成23年「春耕賞」。俳人協会会員。句集「風のみち」