一番札上げ勢ひたる朳列
表裏ある街の通りに朳来る
朳太鼓爺が背負ひて子が打てり
苗取りの苗を扇子に朳舞
銭太鼓しやんしやん雪を激しうす
軒下に軍鶏の飼はれし朳宿
正座して磨く朳の苗その他
大釜に飯炊き上がる朳宿
公園の像にも朳衣装着せ
えんぶりの烏帽子寒気を斬るごとく
えんぶりの摺り堅めたる雪の艶
朳摺りの影の卍や月上げて
朳篝榾火は雪に挿し消せる
藤九郎鳴子あらげて摺り納む
復興を祈る朳となりにけり
髙橋千恵たかはしちえ
髙橋千恵たかはしちえ
◆略歴 昭和59年「薫風」創刊同人。平成20年「春耕」入会。平成24年「春耕」同人。平成2年俳人協会会員。平成17年句集『母の行李』令和2年12月退会