天心の星のまたたき去年今年
野生馬の駈ける岬の水仙花
玻璃越しの日差し豊かや冬薔薇
残雪に鳥形残し山暮るる
暮れてなほ茅花明りの国分寺
朝まだき湖に棹さす蜆舟
春立つや風入れ替はる峠道
ものの芽の雑木林に動きそむ
山間に水の息づく山葵沢
曳き舟の水脈の煌めく瀞の春
新豆腐光を弾く山の水
岩肌をすべる水音涼新た
葉鶏頭夕日に立ちて焼き尽くす
風の声木々の声聞く秋意かな
細やかな揺れ繰り返す冬桜
田村富子たむらとみこ
田村富子たむらとみこ
◆略歴 平成17年「春耕」赤堤句会、日野中央句会入会。平成25年「春耕」同人。