いきいきと雲の生まるる初山河
朱雀門より春の野のはじまりぬ
青竹を叩き清める神輿みち
鬼の首曳きゆく天下祭かな
豆飯は綾子の味と思ひけり
猿つれて閻魔参りの女かな
八十の大志いだきて炎天へ
はんざきの永らへゐたり弥陀ヶ原
月山に生まれたてなる雲の峰
天上へ駒草の径つづきけり
大粒の星の生れたるお花畑
縦走や鉄鎖に露のひとならび
太刀をもて雨うち払ふねぶた武者
盤水逝く夜も鳴きゐる秋の蟬
遥かより秩父ばやしや牡丹鍋
山田春生やまだはるお
山田春生やまだはるお
◆略歴 昭和49年「風」に入会。53年同人。63年「春耕」に同人参加。句集『雪渓』『鎮魂』など八冊。著書『旅の俳人皆川盤水の世界』『俳句の旗手』(山本健吉文学賞受賞)ほか多数。2022年8月27日逝去